1着になる確率を求める方法
1着になるということは、他の馬より速いタイムで走るというこ
とです。したがって、各馬の走破タイムが予測できれば、1着にな
る確率を計算することができます。しかし、タイムを予測するとい
っても、何分何秒なのかを正確に言い当てることは不可能です。元
々、不確定なものを確定したものとして扱うことはできません。た
だし、ある任意の範囲内のタイムで走破する確率は予測できます。
例えば、1分58.45秒から1分58.54秒の間のタイム(四
捨五入すると1分58.5秒)とか2分24.5秒から2分25.
4秒(四捨五入すると2分25秒)の間のタイムというような特定
された範囲のものであれば、確率は知り得ます。
一般に、競馬の走破タイムのような、結果(タイム)がある範囲
内の連続的な値をとる可能性がある場合には、図3−1の曲線1の
ようなある形状を持つ確率分布図で表されます。この図は、1頭の
馬の走破タイムについての確率分布を表しています。縦軸が確率、
横軸が走破タイムです。確率の合計つまり斜線部分の面積は1(1
00%)になります。なお、図3−1のデータは仮想のデータです
図の中で曲線1の形状は、仮に正規分布(左右対象)になっていま
すが、現実はどうなっているのでしょう。これを調べるために個々
の馬について過去のデータを調べても、データ数が少ないためはっ
きりした答えは得られません。しかし、図の曲線1のような正規分
布であるか、または、曲線2のような正規分布がやや片寄った形で
あろうことが想像できます。曲線3のように起伏があったり、曲線
4のように急激に確率が変化する形は、現実的にそうなる根拠が見
あたりません。こうしたことから、REVO2000では、近似的
に正規分布に近い形であるとして各馬の走破タイムの確率分布を扱
っています。ここで、ユーザーの方々に認識してもらいたいことは、
REVO2000では馬の走破タイムの確率分布を正規分布として
扱っているという事実と、そのことは決定的な理由を持たないとい
う懐疑的要素を含んでいるという2つのことです。つまり、このこ
とが、競馬を予想する上での誤差を生む要因となる可能性を持って
いて、それを確かめるためには、帰納的手法以外は考えにくいとい
うことです。
さて、上記の考えの下に、過去のデータを解析し(この方法につ
いては後で詳しく説明します。)各馬の走破タイム(能力タイム)
の確率分布を知り得たものとして、あるレースにおいてある任意の
馬が1着になる確率の計算方法を説明します。
話を単純にするために、今、出走馬がA、Bの2頭だけであると
し、データ解析の結果、それぞれの予想能力タイムの確率分布が図
3−2のようになったとします。Aが1着になる確率を求めるには、
Aが走りうる走破タイムのすべてについて、Bがそれより遅く走る
確率を求めれば計算できます。たとえば、Aが0.995(0.9
945〜0.9954)で走る場合は、その確率0.02に、Bが
0.995より遅く走る確率つまり図の斜線部分の面積を掛けてや
れば求められます。これと同様の計算を、Aが走り得るすべてのケ
ースについて行い、その結果の総和が「Aが1着になる確率」とな
ります。Bが1着になる確率を調べる場合も同じです。また、3頭
以上の出走馬の場合もこの操作を繰り返すことによって、それぞれ
の馬の1着になる確率を求めることができます。こうした計算はた
いへん複雑で手間のかかるものですが、コンピューターを使って行
えばそれほど時間はかかりません。