プロセス3  勝率と期待値の推定

 

基準となる能力タイムの予測

 

  実戦予想は、プロセス1の能力タイムデータとプロセス2の特性

データを基に計算されます。基本的には、勝率を推定するための予

想確率分布を正規分布であると想定し、その中心(平均)を各馬の

過去のレースにおける平均能力タイムと仮定します。さらに予想す

るレースの条件等によって、プロセス2の特性データ等を使ってそ

の値を補正します。

 過去のレースにおける能力タイムの補正の方法は、次の@〜Nの

ように設定されています。

 

@近走上昇度についての補正

 馬齢、最近2カ月間の平均能力タイム、最近2カ月間の平均着順

比、データ数、平均能力タイム、平均着順比の各値によって36段

階のランクを設定し、各ランクごとに補正値を決定します。

 

Aレース参加頻度についての補正

 最近2カ月間の出走回数を5ランクに分類し、その値によって、

補正値を決定します。

 

B距離経験についての補正

 距離を0〜1600、1601〜2400、2401以上の3ラ

ンクの距離区分を設定し、さらに、各馬が当該レースの距離区分で

出走した回数を4ランク(0、1、2〜3、4〜)に分類して、補

正値を決定します。

 

C勝負強さについての補正

 平均着順比、最近2カ月間の平均着順比、データ数、平均能力タ

イムの各値によって42段階のランクを設定し、各ランクごとに補

正値を決定します。

 

D展開適性についての補正

 平均能力タイムと平均ラスト3Fタイムの比率から決定した各馬

の脚質(5ランク)、出走馬の脚質によって決定したレースの展開

 

予想(5ランク)、及び、レースの距離区分の各値によって8段階

のランクを設定し、各ランクごとに補正値を決定します。さらに、

全データから導いた「開催場所ごとの1着馬の脚質」(図3−11)

と各馬の脚質によって補正します。

 

g15

 

E馬場状態適性についての補正

 馬場状態を良馬場と良馬場以外の2種類に分類し、それぞれの馬

場状態と平均能力タイムの関係を各馬ごとに計算して実際の馬場状

態に当てはめて補正します。

 

F距離適性についての補正

 各馬の距離と能力タイムの関係を1次関数で表し、その式に当該

レースの距離を代入した値と過去のレースの平均距離を代入した値

の比、開催場所、距離、距離区分、及び、過去のレースの平均距離

の各値によって18段階のランクを設定し、各ランクごとに補正値

を決定します。

 

G馬体重の増減についての補正

 馬体重の増減、レース間隔、馬齢、平均能力タイムの各値によっ

て11段階のランクを設定し、各ランクごとに補正値を決定します。

その決定は、全データから導いた馬体重の増減と能力タイムの関係

(図3−12)を根拠とします。

 

g16

 

H負担重量についての補正

 全データから導いた「負担重量比と能力の関係を表す1次関数」

(図3−13)に実際の負担重量を当てはめて補正します。

 

g17

 

I馬番についての補正

 全データから導いた「開催場所、馬場状態別の馬番と能力を表す

2次関数」(図3−14)に実際の馬番を当てはめて補正します。

 

g18

 

Jトラック回り方向(左右)についての補正

 各馬の過去のレースにおける右回り、左回りの時のそれぞれの平

均能力タイム、右回りを1、左回りを2としたときの平均値、及び、

平均能力タイムの各値によって3段階のランクを設定し、各ランク

ごとに補正値を決定します。

 

Kレース間隔(休養)についての補正

 前回のレースとのレース間隔を6ランクに分類し、各ランクによ

って補正値を決定します。その決定は、全データから導いたレース

間隔と能力タイムの関係(図3−15)を根拠とします。

 

g19

 

L休養後の出走回数(たたき)についての補正

 最近の休養後の出走回数によって4段階のランクを設定し、各ラ

ンクごとに補正値を決定します。その決定は全データから導いた休

養後の出走回数と能力タイムの関係(図3−16)を根拠とします。

 

g20

 

M騎手の能力についての補正

  騎手別の能力タイムの平均値(騎手特性データ)によって補正し

ます。(表3−5参照)

 

N調教師の能力についての補正

  調教師別の能力タイムの平均値(調教師特性データ)によって補

正します。(表3−6参照)

 

g21

 

 

推定された能力のばらつき(分散)

 確率分布の広がり方は、各馬の過去レースにおける能力タイムの

分散、および、すべての競走馬についての分散の傾向から決定しま

す。各馬の過去のデータから求めた分散は、データ数が少ない場合

等に常識の範囲を超える値となることが考えられるので、そうした

場合は分散に関する一般的傾向を基に制限を加えなくてはなりませ

ん。一般的傾向から判断すると、分散の2乗の平均値は約0.01

3で、おおむね0.005〜0.02の範囲に入っています。RE

VO2000では、各馬の過去のデータから求めた分散値は、分散

の2乗が0.01〜0.015となるように制限されています。

 

1着になる確率と期待値の計算

 上記によって求めた確率分布の平均値及び分散値によって、各馬

の勝つ確率を表す確率分布曲線を求めることができます。そして、

それぞれの曲線を表す式を基に、「理論」の章で述べた理論によっ

て各馬の1着になる確率を求めることができます。

 さらに、単勝オッズが分れば、各馬の期待値は、

 

  推定される期待値=各馬の1着になる確率×オッズ

 

によって求められます。


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